川内原発再稼働反対!
廃炉なくして労安なし
原発よりも「人格権」
2014年5月21日、福井地裁は、関西電力・大飯原発の運転差し止めを命じました。
「電気を生み出すための一手段」にすぎない原発の稼働が、万一の事故の場合、憲法上の最高の価値である「生命を守り生活を維持する人格権」を侵害する危険があると認めたのです。
また「2005年以降10年足らずの間に、全国で20カ所にも満たない原発のうち4つの原発に、想定していた地震動を超える地震が、5回にわたり到来している」と指摘、「地震という自然の前における人間の能力の限界を示す」として、原発過酷事故の具体的危険性が否定できないとしました。
巨大噴火は予知できない
川内原発に影響を及ぼす巨大噴火は9万年周期で発生するとし、直近の姶良カルデラは3万年前だから巨大噴火の可能性は十分低いとしています。
また、モニタリングをすれば巨大噴火は予知できると言っています。
しかし、多くの火山学者は9万年周期説を否定し、予知も困難だと指摘しています。
政府も「噴火の具体的な発生周期や規模を予測することは困難」(2014年6月27日)だと認めています。
巨大噴火によって、放射能が火山灰と一緒に日本全土にばらまかれる悲劇を起こさないために、川内原発は再稼働せず、廃炉にすべきです。
私たちは福島を忘れません
福島原発から放出された広島型原爆の170発分にもなる放射性物質は、30キロにとどまることなく広範囲に拡散し、大地と海、川を汚染しました。
3年数ヶ月たった今もなお、13万人の住民が避難生活を余儀なくされ、家・土地のある故郷に帰ることができません。
私たちは、「安全」と言われた原発がこんなに危険なものであることを福島から学んだのです。
新基準は「安全」を保証していません
福島の事故原因の究明が行われない中で作られた新基準は、当初の「安全基準」から「規制基準」へと名称も変わりました。
原子力規制委員会の田中委員長も「規制基準に適合しても、100%安全だと言えない。」「事故が起きないとは言えない。」と発言しており、適合審査への「合格」は原発の安全を保証するものではありません。
原発が止まっても電気は足りています
福島原発事故後の3年間、原発がほとんど動かなくても電気が不足することはありませんでした。
今ある原発を再稼働させずとも、新鋭ガス火力を迅速に導入すれば電力需給のひっ迫はすぐに解消され、巨額の火力発電焚き増しコストも大幅に削減できます。
中長期的には、再生可能エネルギーの拡大や省エネルギーの促進によって原発のない社会をつくれます。政府の決断が大切です。
廃炉になっても雇用は確保できます
川内原発2号炉が営業運転した1985年の薩摩川内市(合併前の旧町村を含む)の人口は108,105人でしたが、今は98,452人(2014年7月1日現在)です。
原発が地域の活性化に役立っていないことは人口減少から明らかです。
石炭から石油へのエネルギー転換期につくられた「産炭地域振興臨時措置法」などを参考に、自然エネルギーなどの「次世代エネルギー」を軸にした「原発のない」新しい街づくりへ向け、国が経済的な支援を行うことは当然です。
また、脱原発を進めるドイツのように、数十年にわたる廃炉作業に従事する人々の雇用も生じます。
原発でつくる電気コストは火力より割高!
日本の電気料金は、原発が動いていた時代から海外の倍以上も高かったのです。
「原発が止まったから」電気料金が上がったと電力会社は説明していますが、本当の理由は「安倍政権が誘導した円安」で火力発電の燃料費が増え、「原発と核燃料サイクルを推進する」経費が上乗せされているからです。
1kW時の発電コストは原発11.4円に対し、石炭火力10.3円、LNG火力10.9円(2014年6月27日)で、「原発が安い」は神話に過ぎません。
風下に避難するの?
深刻な事故によって漏れ出した放射能(放射性物質)は、風下に広がります。被ばくを避けるには、風の流れに対し直角の方向に逃げなければなりません。
川内原発周辺では、北・北西の風が多く、南・南東の方向へ逃げてはいけません。でも30キロ圏9自治体の避難先は、主に南・南東の鹿児島市、南さつま市、南九州市、垂水市、曽於市などです。放射能拡散シュミレーションは考慮されていません。
逃げた先に放射能が襲ってきたら、そこの住民とともに、別の場所への避難が必要です(2次避難)。でもそのことは想定されていません。これでは私たちの命と暮らしは守れません。
子どもたちの優先避難は?
学校の子どもたちは、放射線の影響が大きく、真っ先に避難させる必要があります。自治体の計画では、
① 放射線拡散前に学校で保護者に引き渡す。
② 避難指示が出たらバスで住民と一緒に避難
などが想定されています。
共働き家庭など連絡が困難な場合や、避難行動の混乱で学校で待機を余儀なくされることや、避難バスが渋滞に巻き込まれることもあります。
例えば、薩摩川内市の児童生徒8,300人、教職員900人あまりを輸送するには単純計算でも200台以上の大型バスが必要となります。いったいどこから調達してくるつもりでしょうか。
また、保護者とバラバラになった場合には、きちんと連絡がつくでしょうか。
5キロ圏の人が逃げるまで待つ?
鹿児島県「原子力災害対策」では、まず原発から5キロ圏内の住民が避難、続いて30キロ圏までの住民が、事故の進展に応じて屋内退避や一時移転などの避難行動に移るとしています。(2段階避難)。
30キロ圏の住民は5キロ圏の住民が避難を始めたとき、じっと見送り、その後避難するのでしょうか。
多くの住民は「不可能」と答え、自治体も「協議や検討が必要」としています。2段階避難は非現実的で、机上の空論です。
避難道路は大丈夫?
住民はマイカー避難が原則です。
車のない人は自治体が準備するバスなどを利用します。
細部は県がバス協会と協議するはずですが、まだ固まったものは示されていません。本当に車両や運転手を確保・手配できるのか、不確実です。
福島事故では、あてにしていたバスが来なかったという報告もあります。
原発事故につながるような大地震、津波が起きれば、道路破壊・冠水、崖崩れなどの危険もあります。海沿いの避難道路は通行不能の恐れもあります。
台風などが重なる複合災害なら、一層の混乱は不可避です。
そんな場合の検討はされていません。
避難計画が不十分なら原発運転ダメ!
米NY州・ロングアイランド島のショアハム原発は、1972年に着工し84年に完成しました。
しかし79年のスリーマイル事故をきっかけに反対運動が起き、その中で、防災・避難計画が問題だらけだということが明らかになりました。
州議会、州知事も無視できず、89年に営業しないまま廃炉になりました。
米国では「妥当で実行可能な緊急時計画を策定する」ことが原発の運転許可条件です。この基準は川内原発にも適用されるべきです。
そうでなければ私たちの命と暮らし、安全な職場は守れません。
原発のゴミをこれ以上増やしてはいけない
日本はこれまで、原発などを動かして23,000トンもの高レベル放射性廃棄物を生み出してきました。
原発のゴミは、少なくとも数十万年にわたって隔離しなければなりませんが、最終的な処分場所の目途は立っていません。
鹿児島県の旧笠沙町や宇検村、南大隅町で誘致の動きがありましたが、住民の反対で撤回させました。
福島原発事故で生み出された、除染ではぎ取った土や浄水場の汚泥などの原発の事故の処分先も決まっていません。「負の遺産」としての原発のゴミを、これ以上増やしてはいけません。