●衛生推進者になって超勤解消
こうして今、本ブログをご覧になっているあなたも「学校という職場は超勤するもの」と、採用以来ずっと諦めてきたのではないでしょうか。
筆者が目にしてきた多くの報告書や提言の類も、分析や理論といった建て前では立派ですが、対策も実態と離れた上に、時間や組織的労力・幅広い理解と支持が必要とされるため、具体的なロードマップや成功事例に欠け、短期間(在職中)での実現性は乏しいものばかりでした。
バーンスタイン氏が広島原爆資料館に残した言葉を借りるなら、「言葉はもう十分だ。行動が不足している。」のです。
(ここに来て、「時間外勤務手当」や「労働時間貯蓄制度」導入を求める動きはありますが、先行きは不透明です)
筆者は、研究者でも労働運動のリーダーでもありません。
日々の生活者でもある現場教職員は、そのような“遠大な”計画を求めているのではなく、もっと手の届く範囲で先の見通しを持って簡単に始められ、しかも確実に成果のある方法を模索しているのではないかと思います。
大多数の教職員は、ゴールの見えないことに取り組む余力をもはや残してはいないのです。
これらを踏まえ本ブログでは、学校での「作業管理」(長時間労働解消)の取組にできる限りの力を注ぎました。
結論から言いますと、筆者(衛生推進者)が勤務するA小ではこの3年間で学校全体の約20%(2,000時間超)の超勤を減らすことができました。
すなわち、超勤は「衛生推進者が中心となって労安活動を進める」ことによって削減できます。
その際、使用するのが「法令・データ・説得」という3つのキーワードで、これらを組み合わせることによって成果を上げられることを、具体的に紹介していきたいと思います。
筆者が取り組んだ超勤削減の方法には先例らしきものはなく、自分で考え行動するしかありませんでした。
したがって、内容的にはまだまだ粗削りで改善余地のあるものです。
ですから、読者の皆さんには、より良い方法を生み出すための“叩き台”として本書を使って頂ければと期待しています。
そのために、「誰でも・どこでも・1人でも」参考にできるよう、根拠となる「法令・通知」や多くの「データ」を取り入れて執筆しました。
法治国家であるはずのこの日本で、教職員の違法な超勤が長年放置され続けていること自体異常ですが、嘆いているだけでは事態は変わりません。
「忙しい。多忙だ。」と言っているヒマ?があったら、願わくは勇気ある一歩を踏み出してほしいと思っています。
教員が教科指導のスキルを持つように、労働者にとって労安は知っておくべき当然のスキルです。
皆さんの学校とは多少実情が異なるかもしれませんが、超勤を減らす何らかのヒント、解決の糸口につながれば幸いです。