消極論➊ 労働者の安全と健康確保は本来、事業者の責任である
安衛法上、労働条件や職場環境・設備などを適正に保持して、働く人たちの生命と健康を守ることは、本来、事業者の責任に属することがらです(法3条)。
しかし、事業者というのは一般的に事業運営や予算執行など、労安以外の業務で多忙なのが実情です。
そこで、これらの事業者に与えられた安全衛生管理責任を確実に果たすためには、安全衛生業務について権限と責任を有する者の指揮を受け、事業者に代わって安全衛生業務を具体的に処理してくれる人を選任することが必要になります。
これが「衛生推進者」です。(1988.9.16基発601の1)
このような関係は、日常珍しいことではありません。
例えば、「校務をつかさどる」のは校長の「責任」ですが(学教法37条4)、実際には全職員で校務を分担しています。
衛生推進者は校務ではありませんが、「責任」という意味では同じです。
責任は法にある通り事業者(教育委員会・校長)にありますが、実務上のことは衛生推進者に委ねているのです。