●事業者側の衛生推進者だと
その職務を、果たして事業者側の教頭等にできるでしょうか。
「校長を助ける」(学教法37条7)ことを本務とし、校長以上に情報不足・理解不十分である教頭が、もう一方で「校長の理解が不十分だから説得」するなどというのは矛盾です。
したがって衛生推進者というのは、校長とはきちんと距離を置きながら、法やデータに基づき説得する(俗な表現で「耳の痛い話をする」あるいは「尻を叩く」)ことのできる立場であり、それこそが第一の任務と解することができます。
ですから、校長からみると衛生推進者は実に煙たくて面倒くさい存在です。
いちいち「法令」や「データ」を駆使して「説得」にかかってくるわけですから。
衛生推進者を「規定違反」してでも教頭にさせたがる理由はここにあります。
労働者を保護し、事業者を取り締まるのが安衛法の立法趣旨です。
事業者側の衛生推進者がいたとしたら、常に事業者の顔色をうかがって、法にかなった任務を全うすることなどできないでしょう。
したがって、衛生推進者は少なくとも事業者側ではないと考えた方が法の趣旨にかなっています。
法令上も、保健体育科や養護教諭免許の保有者に衛生管理者の資格を例外的に与え、さらに、衛生委員会の委員として「教頭」とは別に、「衛生推進者」の席を用意する意味はいったい何でしょうか。
これらは、学校職場における、安衛法の一貫した「労働者保護精神」の表れだと善意に解釈できます。
職場にどんな労働安全衛生を築いていくのかは、事業者(校長)だけではなく、衛生推進者や労働者次第でもあるのです。