●目先の多忙よりその先の成果を
そもそも労安活動の成否は衛生推進者のやる気にかかっています。
したがって、衛生推進者による多忙解消の取組は、結局は衛生推進者自身の多忙解消にもはね返ってくるものです。
A小での衛生推進者業務は、勤務時間内におよそ年間50時間程度ありますが、それに伴う効果は全校で1,000時間程度の超勤削減につながると考えています。
目先の健診業務や“多忙”に目を奪われがちですが、衛生推進者業務全体を俯瞰して見ることが大切です。
安全・健康で快適な職場づくりや多忙解消のために衛生推進者になろうというのに、なる前から多忙の渦に巻き込まれるのではないかと心配していては、話は一歩も前に進みません。
登山にたとえるなら、遭難者(多忙な職員)を救出に向かった救援者(衛生推進者)が二次遭難者(多忙な衛生推進者)になるような愚かな行為は、労安の世界ではあってはならないとされています。
ミイラ取りがミイラにならないよう衛生推進者は無理なく業務に当たるべきではありますが、理屈の上からも通常はやればやるほど楽になっていくものです。
そうならないのであれば、どこかに問題があるのです。
『進化論』を唱えたダーウィンは「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは変化できる者である」と述べたそうですが、働く環境は刻一刻と変化し厳しさを増しています。
その変化にどううまく対応していくのかが問われています。
自分たちの安全・健康や超勤問題を気遣ってくれる専門職員(衛生推進者)が職場に保障されていること自体すばらしい制度であって、積極的に活用しない法はありません。
衛生推進者として先手を打ち、自ら参加・提言・改革してみたらどうでしょうか。
現状は、「雀(すずめ)脅(おど)して鶴を失う」。
小事にこだわって、大きなものを取り逃がしているように思います。