5.衛生推進者に選任される要件
筆者がA小に転勤して来た1年目は保健主任(教員)が衛生推進者をやっていました。
別に講習を受けてきたわけでも保健体育科の教員免許を所持していたわけでもないので、先述の「実務経験者」の扱いで、「何をして良いのか分からない」というのが彼女の悩みの種でした。
当時は学期1回の衛生委員会でしたが、職場のアンケート調査をコツコツと真面目に実践するタイプで、成果もそれなりにありました。
そこには、先述の衛生推進者の「多忙」や「責任」の問題もこれといってありませんでした。
結論としては、やる気さえあれば誰にでもできるのです。
前出の『衛生推進者必携』では、次のような要件を備えた人を衛生推進者に選任することが望ましいとしています。
【衛生推進者の選任】 ① 事業場における生産態様の全般に精通していること ② 労働衛生についての理解と熱意があること ③ 労使双方から信頼されていること |
(①の「生産態様」は「教育活動」と読み替えできるでしょう)
もちろん、3つの条件をすべて完璧にクリアできれば理想的なのでしょうが、職場にある程度馴染んできたら、①は誰しもほどほどに備わってくるものですから、それほどハードルは高くありません。
③については、労使の意見を十分聞くことで信頼性を高めることができるでしょう。
ここでのポイントは②の「理解と熱意」だと思います。
労安は「熱意」次第であることは、先ほどの保健主任の例が示していると言えます。
ただ、これに加えて「理解」があれば、あれこれ「何をして良いのか分からない」と悩むこともなく、一層成果を上げられたと思います。
「理解」の対象は労安の知識や理論で、そのための学習は必須となります。