第2章 安全衛生管理体制
1 労安活動目標
「作業管理」「作業環境管理」「健康管理」という労安の3大基本管理や「安全衛生教育」を成功させるには、これらをきちんと統括する「安全衛生管理体制」が必要になります。
安全衛生管理体制とは、目標・方針・組織・活動計画といった労安活動の根幹をなすものです。
1.目標の設定
職場というのは、本来そこで働く人々やその家族を幸せにする場所のはずです(憲法13条・幸福追求権、27条・労働の権利及び義務等)。
あれこれやって、たまたま無事故・無災害だったというのでは合理的でありません。
無駄が多過ぎます。
ですから意識的に無事故を目指す必要があります。
あるいは、大半の学校では、衛生委員会なんて無くても事故や災害は起きないかもしれません。しかし、リスクは人間がつくるものです。
衛生委員会がしっかり機能して事故災害ゼロにつながれば、結果は同じでもそのプロセスはまるで異なります。
前者は偶然、後者は必然なのです。
無事故・無災害は本来、目標・計画・活動・心構えの結果でなくてはなりません。
根拠がない偶然は、今後も続くとは限りませんが、計画された必然であれば、事故災害はこれからも最小限に抑えることができるでしょう。
それらを実現するための職場の活動目標を設定します。
【A小の労安活動目標】 職場における職員の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進する。 |
目標は活動のゴールであり道標となるものです。A小の労安活動目標は、以下の法1条(目的)を引用し、一見して分かりやすいものにしています。
【法1条 目的】 この法律は、労働基準法と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。 |
目標を具体化するために、前年度の職場実態を踏まえ、数値目標を立てて到達点を明確にすると、年度末に評価がしやすくなります。
●A小 重点数値目標(例)
分 野 |
項 目 |
目 標 |
安全衛生管理体制 |
衛生委員会の開催 |
毎月 |
作業管理 |
総超勤時間の前年比 |
―1,000時間 |
「医師による面接指導」該当者数の前年比 |
―20% |
|
ノー残業デーの平均退庁時間 |
15分以内 |
|
年休取得日数 |
16日以上 |
|
作業環境管理 |
公務災害件数 |
0 |
健康管理 |
職員健康診断の受診漏れ件数 |
0 |
職場起因の病気休職者数 |
0 |
|
安全衛生教育 |
研修会の実施 |
年1回 |
職員会議での情報周知 |
毎月 |