7.「安全第一」とは
「安全第一」という誰でも知っている有名な標語があります。
これは今から100年ほど前、世界有数の製鉄会社の社長であったエルバート・ヘンリー・ゲーリーが考案したもので、実はこれに続けて第二・第三の標語があることを皆さんはご存知でしょうか?
その由来を聞けば、「安全第一」の意味を一層深く理解できると思います。
当初、その会社の方針は「生産第一・品質第二・安全第三」でした。
しかし、労働災害が多発したため、方針の順番を逆にして「安全第一・品質第二・生産第三」としました。
すると、労働災害を短期間のうちに減らすことができたそうです。
これは、会社トップの姿勢一つで労災を減らした好例でもあります。
これを、今の学校職場に当てはめれば、さしずめ「健康第一・教育第二」みたいなイメージなのかもしれません。
健康も教育もすべてを第一にしたいのが人情ですが、すべてが第一であるというこは、結局本当の第一がないということになります。
「健康第一」を掛け声倒れにしないためには、「教育第二」の存在が大切なのです。
同様の考え方は判例にもあります。
1995年長崎じん肺訴訟で福岡高裁は、「いかに社会的に必要かつ有益な事業であるからといって業務遂行の過程で労働者の身体・健康の障害が発生しても、それが許されてよいとする理由は見出し難い」との判決を下しています。
これも学校職場に当てはめれば、「いかに教育的に必要かつ有益な事業であるからといって業務遂行の過程で教職員の身体・健康の障害が発生しても、それが許されてよいとする理由は見出し難い」という結論に至るのではないでしょうか。