担保➌ 事業者責任、責任体制の明確化
【法3条 事業者等の責務】 事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。 |
安衛法は、「事業者規制」が基本であり、主たる義務主体は事業者です。
すなわち、自己の事業のために他人(労働者)を使用する者(事業者)に対して、その使用に際して労働者の生命を守り、心身を損なわないようにすることを義務付けていて、「安全配慮義務」と基本は同じです。
労働災害が起こった場合の責任は事業者(地教委)にあります。
具体的には労基法・安衛法違反や業務上過失致傷(刑法211条1項)などの刑事責任を問われることがあります。
さらに事業者には、民事上の義務(安全配慮義務)があり、この義務や不法行為責任を根拠に民事責任を問われること(損害賠償の請求等)もあります。
A小での校長は、本市に衛生委員会がない現状では、事業者と総括安全衛生管理者の両方の役割を形の上で兼ねていますが、市教委の事業者責任は変わりません。
職員は使い捨てなどではなく、生涯健康で家族も安心できる職場をつくることが事業を行う者の社会的責任であり、それが不可能ならば、無責任に事業者などになってはならないのです。
いくら高邁な教育理念を職員に語っていても、職場の労働安全衛生や勤務時間の適正な管理能力がなければ、事業者としての資格はありません。