●衛生推進者が扱う統計
① 職場の労働衛生管理の現状、動向の把握
得られた統計からどのような問題点があるか、緊急性を要するものがあるかなど現状を把握し、今後の労働衛生リスクを予測します。
これによって、問題が発生する前に対策を立案、実行に移すことができます。
また、全国統計、業種別統計等と比較することにより、職場の労働安全衛生水準を横断的・経年的に評価することができます。
(例) 公務災害発生状況(※1)、病気休職者数、精神疾患者数
② 事業者等に対策を説明する資料
具体的な統計として、学校職場では次のようなものが考えられます。
ア) 基本的な統計資料
(例) 職員数、年齢構成、性別、通勤方法・時間、経験年数
イ) 作業管理統計
(例) 労働(超勤)時間、超勤内容、休憩実態、年休取得率(※2)
担当授業時数、各種休暇取得日数、各種アンケート調査
ウ) 作業環境管理統計
(例) 安全・衛生点検の結果や修繕・改善結果、ヒヤリハット事例
エ) 健康管理統計
(例) 病気休暇日数、健康診断結果、疾病休業日数率(※3)
●例1:公務災害発生状況(※1)
・A小の例: 0件 (通勤災害を含む)
・普段からの安全衛生点検、超勤削減計画(無理のない教育課程編成計画)、交通事故防止情報・公務災害事例の情報提供等の総合的な取組の成果と評価しています。
●例2:年休取得率(※2)
年休休取得率=取得日数計÷付与日数計×100 |
・A小の例: 504日÷1308日×100=39% (2月末現在)
・A小1人当たりの平均年休取得日数=13.6日
・S市特定事業主行動計画での年休取得目標(16日以上)
・A小では、長期休業中の中間取得目標を定めたり、2月末現在の取得率を公表し、3月中(年度内)に目標を達成できるように働きかけています。
・定期的にアンケートを行い、取得しやすさに問題はないか点検します。
・事業者は年休取得しやすい職場環境づくりを図るものとする。(厚労省通知2006.3.17)
●例3:疾病休業日数率(※3)
疾病休業日数率=疾病休業延日数÷在籍労働者の延所定労働日数×100 |
・A小の例: 31日÷(220日×38人)×100=0.37
・疾病休業日数率は、職場が定めた労働日数に対して何日疾病による休みを取ったかを示す統計で、在籍労働者(1人当たり)の延所定労働日数100日当たりの疾病休業延日数で示されます。この統計を基に、疾病休業日数率が低下するように、翌年に向けて対策を立てていくものです。
・病気が原因で休むのに、個人の判断で「年休」処理をしてしまうと正しいデータが得られなくなり、職場の課題が見えなくなってしまいます。したがって、この統計の趣旨を使用者・労働者は理解し、適切な勤務処理をすることが求められます。