違反する理由➊ ルールを知らない
当たり前ですが、労働基準法や「適正な勤務時間」の意味を知らなければ、勤務時間を守る・守らない以前の話です。
●「適正な」とは
そもそも「適正」とは何でしょうか。
何をもって「適正」と言えるのでしょうか。
基準や定義が曖昧なまま使われているような気がします。
この種の文章は、誰が見ても同じような意味に解されなければなりません。
本来、法律的に効力を持たせるための文章であれば、具体的かつ客観的に記述されているものです。
ところが、「適正」という言葉自体、これを捉える人によって(ご都合主義で)、適正なのか適正でないのかが違ってきます。
これでは、せっかく通知を作っても意味がありません。
曖昧な表現や抽象的な表現は、何も決めていることにはならないのです。
それを避けるためには、できるだけ数字や具体的な修飾語を使うことによって、抽象的な使用を極力控えることができます。
例えば、この場合であれば、「適正な」をそのまま使うようなことはせず、あえて使うのであれば、「労働基準法が定める適正な」という表現に改めて使います。
これで、実質的には「適正」という意味を排除してしまって、事実上、労働基準法に解釈を委ねる表現になるわけです。
(「適正な」という言葉は厚労省通知「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」等にも出ており、ここでも「労働時間の適切な管理の促進を図り、もって労働基準法の遵守に資するものとする」としています)