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●包括的職務命令

 包括的職務命令

 

具体的に言えば、学校における教育活動は、そもそも年度当初の担当学年、担当教科などが職員会議で校長によって示され、決定したとき、教育活動が職務として包括的に命じられることになります。

 

例えば、「32組の担任」を命じられれば、その後に「32組の算数の練習プリントを作りなさい」「32組の給食の指導をしなさい」「32組の通知票をつくりなさい」などと校長からその都度命じられるわけではありません。

 

必要だからしているのです。

 

明日では間に合わないから残業するのです。

 

学校現場では、こうした包括的な職務命令や教員を信頼した「黙示の指示」がほとんどなのです。

 

労働契約や就業規則で、細かく職務内容が決められているわけではありません。

 

したがって、教育職員の労働時間は、これら包括的な職務命令によって校長の「指揮監督権下」にある時間と言えます。校長はその職務として、「校務を掌り、所属職員を監督する」(学教法28条)のであり、校長がまったく関与しないような教育活動はあり得ません。

 

教育職員にとっては、時間外であろうとなかろうと、その職務内容の「質」に差はありません。

 

つまり、包括的にうけた職務命令により「教育活動」の範囲の内で、常に「自発的・自主的・創意工夫」を心がけ、正規の勤務時間内だけでなく時間外・休憩時間にも職務に専念してきたのです。

 

最近では、次のような判例もあります。

 

▶ 時間外勤務等を行うに至った事情、従事した職務の内容、勤務の実情等に照らし、時間外勤務等を命じられたと同視できるほど当該教育職員の自由意思を極めて強く拘束するような形態で時間外勤務等がなされ、そのような時間外勤務等が常態化しているなど、給特法、給特条例が時間外勤務等を命じ得る場合を限定した趣旨を没却するような事情が認められる場合には、給与条例14条、15条、労働基準法37条の適用除外を定めた趣旨も没却しているとして、その適用を認めるのが相当である。

 

(札幌高裁2007.9.27