3.医師による面接指導の根拠として
労働時間調査は同時に、法66条の8(面接指導)の根拠にもなります。
【過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置】 (厚労省通知2006.3.17) 1 趣旨 長時間にわたる過重な労働は疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられ、さらには、脳・心臓疾患の発症との関連性が強いという医学的知見が得られている。働くことにより労働者が健康を損なうようなことはあってはならないものであり、当該医学的知見を踏まえると、労働者が疲労を回復することができないような長時間にわたる過重労働を排除していくとともに、労働者に疲労の蓄積を生じさせないようにするため、労働者の健康管理に係る措置を適切に実施することが重要である。
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(2) 事業者は、「労働時間の適正な把握のための使用者が講ずべき措置等に関する基準について」(厚労省通知2001.4.6)に基づき、労働時間の適正な把握を行うものとする。
【労働安全衛生法等の一部を改正する法律等の施行について】 (文科省通知2006.4.3) 1 長時間労働者への医師による面接指導の実施について 今回の労働安全衛生法の改正によって、全ての事業場において、事業者は、労働者の週40時間を超える労働が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められるときは、労働者の申出を受けて、医師による面接指導を行わなければならないこととされました。 |
脳・心臓疾患の発症に影響を及ぼす過重負荷として、従前は「発症前1週間以内」を中心とする業務負荷が重視されてきましたが、近年の医学研究等によると「長期間にわたる疲労の蓄積」についても明らかな過重負荷として考慮されることになりました。
これによって、過重労働による健康障害の防止を目的として安衛法が改正され、「医師による面接指導」が事業者に義務付けられました。
したがって、面接指導の義務を果たすためには、必然的に勤務時間の把握が必要になるのです。さらに、公務災害認定の証拠(労基法109条・記録の保存)としても採用される可能性があります。
これまでの「労働時間調査」と言いますと、抽出調査であったり、1週間くらいやってみたりすることはありましたが、もうそんな中途半端なことは無用になります。
そもそも、対象者が一部であったり、期間限定でやったとしても、それをどう活かせるかは疑問です。
「ああ、やっぱり忙しかった」と、忙しさをお互い確認しておしまいです。
それ以上のものが無いのです。
そうではなくて、全職員から24時間365日取り続けることこそが本当の「労働時間調査」なのであって、職場改善のための統計的価値が生まれます。
超勤の一部分ではなく、全体像を把握することが大切です。