●論より証拠
そんなアバウトな調子ですから、超勤削減は実態が曖昧なまま、その時々の雰囲気や経験で「行事を削ったらどうか」等、思いつき発言にしかならなかったのです。
事実がわかりませんから、その後の目標も計画も結果の予想も何一つ、手の施しようがないのです。
「論」も決して軽視できませんが、やはり一番ものをいうのは証拠で、ここではとにかく「論より証拠」なのです。
事実は何よりも雄弁です。
具体的には、数字として「忙しさ」が表されます。
居残りだろうが、持ち帰りだろうが、早出だろうが、休憩時間や土日だろうが、「自主的」といわれるものも、とにかくすべての超勤を記録していきます。
そうすると、総仕事量がわかります。
すると現状は、違法状態であることが数字としてはっきりします。
つまり、「(イ) ところで、実際には慢性的に超勤が多く、勤務時間が守られていない」という具体的事実を得るために、労働時間調査をして事実データをつかむのです。
これで“外堀”は完全に埋まります。
それこそが、労働時間調査の一番のねらいなのです。