6.A小の労働時間調査
A小では、休憩時間の生徒指導や手待ち時間、持ち帰り仕事も当然ながら超勤時間に含めています。
これは業務命令が明確にあろうとなかろうと、実際の労働時間を把握しなければ意味がないからです。
具体的には、次の方法をとります。
●A小 労働時間調査方法及び医師による面接指導基準
1.時間外業務記録の根拠・目的 ① 勤務時間の適正把握と管理、改善(厚労省通知2001.4.6) ② 面接指導の根拠と健康管理(文科省通知2006.4.3) 2.実施の方法 ① 労働時間の把握は、職員からの自己申告による確認とする。 ② 職員は実労働時間を「時間外業務記録表」に各自、適正に分単位で記録した後、翌月初めに教頭に提出し、労働時間把握の協力をする。(法4条) ③ 校長は、下表の面接指導(法第66条の8)の実施に努め、労働時間管理上の問題点の把握及びその解消を図る。時間外月45時間を超える者に対しては指導助言する。
④ 職員は、医師による面接指導の基準を超えた場合は、『労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト』を実施・提出し、面接指導を進んで希望する。(負担度2以上の |
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場合は特に受診を勧める)(法4条) ⑤ 衛生推進者は、提出された「時間外業務記録表」を基に、毎月の労働時間状況を集計処理し、衛生委員会に報告する。 ⑥ 自己申告記録は校長等の捺印が求められる3年間保存の重要書類である。 (労基法109条、安衛則23条4項) ⑦ 超過勤務の多少による人事評価との関係、不利益は一切ない。(超勤が多いからといってプラス評価にはならない) ⑧ 事務職員は別途の方法による。(超過勤務等命令簿) ⑨ 入門時刻を始業時刻、退門時刻を終業時刻とするが、持ち帰りはこの限りではない。 ⑩ 更衣、準備、整理、後片付け、手待ち時間等も勤務時間に含める。 ⑪ 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、実態調査を実施することもある。 (労基局長通知2001.4.6) ⑫ 記録は計算・累計がしやすいよう、校内LANサーバにエクセルシートを作成し、各自が活用できるようにする。 ⑬ 労働時間調査は、公務災害等発生の際に、自身を守るための証拠資料となることもある。 ⑭ 回収率が悪い場合は、管理職の責任で直接、個別回収の努力をする。 |
時間外労働等の時間数の把握については、厚労省「労働時間適正把握基準」により、厳密に行うことが求められています。
したがって、時間の集計は分単位で行います。
実労働時間を切り捨てることは許されませんし、法定労働時間を超える労働に対してはたとえ1分でも割増賃金の支払が本来は必要だからです。
(実際に労働させているにもかかわらず、その労働に対して対価を支払わないことは労基法の賃金の全額払いの原則及び割増賃金の支払義務に違反することとなります)
また、労働時間調査は「労働関係に関する重要な書類」にあたりますから3年間の保存義務があります。
【厚労省通知1988.3.14】 その月における時間外の総労働時間数に30分未満の端数がある場合にはこれを切り捨て、それ以上の端数がある場合にはこれを1時間に切り上げることは、事務簡便を目的としたものと認められることから、労基法24条(賃金不払い)及び37条(割増賃金)違反としては取り扱わない。 |
【労基法109条 記録の保存】 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない。 |