問題点➋ 勤務実態との乖離
前述の厚労省通知では、「始業」と「終業」を用いています。
これは必ずしも県教委のいう「出勤」「退勤」を意味するものではありません。
出勤・退勤は職場の入出を示す意味合いしかありませんが、始業・終業は場所的概念は取り払われています。
どこで仕事を始めて、どこで仕事を終わるかは学校であるか否かを問いません。
したがって、自宅で早朝、学級だよりを作成したり、持ち帰って深夜まで授業案を作成することなども当然、始業・終業に含まれる内容であり、「出退勤調査」では明らかにならない部分です。
例えばA小の持ち帰りを含めた「時間外勤務調査」を「出退勤調査」に当てはめると半分以下になってしまうケースはザラにあります。
「持ち帰りは、管理者の目が届かないではないか」との理由があるとすれば、それは(持ち帰り仕事をさせている)管理者の都合であって、職員の責任ではありません。
そんな理屈が通るなら、職専免研修や政府が推進するテレワークなど全否定することになります。
実際の労働時間とかけ離れた労働時間を把握しても、労働時間調査の一番の目的である労働者の過労防止には役立たないことは、先の電通事件でも明らかです。
労働時間調査の始まる“きっかけ”となった「電通事件」の反省がまるで生かされていません。