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●労働時間調査結果の分析

平均の超勤時間はあくまでも「平均の数値」であって、職員によってバラツキがあり、超過勤務が0時間の人もいないわけではありません。

 

中には育児の真最中であるとか、介護をかかえて勤務時間外に仕事をしたくてもできない人もいるかも知れません。

 

また、人には得手・不得手がありますから、ある仕事をやり切るのに必要な時間が人によって異なることもあります。

 

あるいは、職員個々の教育観や授業観・子ども観によって、「必要な仕事である」「今日しなければならない」と判断する基準が異なることも考えられますが、個々の事情までは考慮の対象にできません。

 

他にも様々な角度からの分析が可能でしょうが、「鹿を追う者は山を見ず」になりますから、あまり時間をかけて細かく見るのは適当ではなく、「慢性的な超勤実態」が大まかに浮かび上がればそれをもとに、次の対策を進めていくことで十分と思われます。

 

統計データの中でも重要なのは「月別超勤時間」「業務内容別超勤」「時間帯別」などが対象になります。

 

簡単な分析をしてみます。

 

① 月別超勤時間

・慢性的に超勤が多く、勤務時間が適正化されていません。

・特に8月が少なく、4月と6月に多いことがわかります。

 

② 業務内容別超勤

・給特法の限定4項目はほとんど該当しません。

 

・超勤の内容・原因としては、慢性的な「授業準備」「事務処理」が挙げられます。

 

・勤務時間中は共同して行わざるを得ない校務や行事・会議等に追われ、「個人的」とされる授業準備の時間が十分確保されていない本末

 転倒の状況であることがわかります。

 

・方向としては校務を整理・精選して行くことで、「授業準備」「事務処理」の時間を生み出すことや、教材の共有化などによる教材研究の効率化等が必要になります。

 

③ 曜日・時間帯別

・水曜日の残業(学年会が原因)が多いですが、定時退庁日(木曜日)は奏功しています。 

 

・平均的な職員の姿として、通勤に30分、始業前18分・昼休憩に7分・残業32分・持ち帰りで18分働いています。

 

④ 換算

超勤時間を直感的にイメージしやすくするため、別の数値に換算します。

 

・超勤時間を、職員数に換算すると、全員が定時退庁するためには、毎日5人の職員が不足していることになります。

 

時間外労働手当に換算すると、

時間外労働手当=平均所定賃金÷月間労働時間×割増率(1.25)

×時間外労働時間数×職員数×12

 

330,000円÷(7時間45分×21日)×1.25×22時間×38人×12

=約2,500万円(1人当たり66万円/年の損失)

   

 これで1校分です。

 

 市全校で同程度の事業者ならとっくに倒産でしょう。

 

給料分で換算すると、全員が6か月分の給料で7か月働いていることになります。

 

 

教職調整額で換算すると、4%ではなく、17 %になります。