●ワーク・ライフ・バランスとは
この取組は「ワーク・ライフ・バランス」と一体化しています。
日本語では「仕事と生活の調和」と訳されますが、その核心は「働き方の変革」にあります。
つまり、ワーク(個人の働き方や労働条件)を見直すことで、ワークもライフもより充実したものにしていくという考え方です。
例えば、「学校以外の経験が授業に生きた」というように、仕事以外の時間や経験は仕事にとってマイナスではなくプラスと考えます。考え方・工夫の仕方次第で、ワークとライフは相乗効果を及ぼし合い、好循環を生みだすのです。
これがワーク・ライフ・バランスの本質です。
以前は事業者側からすると、「私生活を犠牲にして、一生懸命働き続けた方が成果も大きい」と考えられてきました。
しかし、近年は私生活を犠牲にして仕事をすることは、実はそれほど効率的でないことも分かってきました。
例えば、職員が私生活を犠牲にして働き続け、過労で倒れてしまったらどうでしょうか。
また、私生活を犠牲にする生活に嫌気がさして、貴重な経験・技術を持った職員が早期退職したり、精神的な病気に追い込まれたりしたらどうでしょうか。
経済的に言いますと、人材育成投資が回収できないことになります。
逆に、職員の私生活が充実していると、自ら自己啓発的に能力開発を行ったり、私生活で得た知見を授業に生かしてくれるかもしれません。
この種の利益は、事業者としては費用をかけていないわけですから“丸儲け”なのです。
職員の側からしても、ワーク・ライフ・バランスが取れていない状況は非常に良くない状況です。
授業準備など持ち帰れる業務が多いことは、他業種と比較すれば私生活との両立が図りやすいと言えますが、それがかえって私生活と業務との境界線を曖昧にしています。
短期的には、疲労によって仕事効率が低下します。
例えば、リフレッシュした状態で仕事をするのと、疲労がたまっている状態で仕事をするのを比較すればどちらの方が仕事効率が高いかは言うまでもありません。
また、中長期的にも、仕事仕事では自分のキャリアを考える時間が取れませんし、自分の家族との生活を楽しむ余裕がなくなってしまいます。
このような状況では、何のために働いているのか分からない状況になってしまいます。
教職員とて私生活が充実してこそ仕事に打ち込めるという発想が必要です。
人生のすべてを教育に傾けるというのは仕事への熱意の表現としてはあるのかもしれませんが、業務を工夫するチャンスを失う原因とも言えます。
このように、事業者・職員双方にとってワーク・ライフ・バランスを欠いている状況は望ましくないと言えます。