平成28年3月11日
鹿児島県教育庁保健体育課長発 通知
『公立学校等における労働安全衛生管理体制の充実について(依頼)』
労働安全衛生法等に基づく管理体制の整備は、職員が意欲と使命感を持って教育活動に専念できる適切な労働環境の確保に資するものであり、ひいては、学校教育全体の質の向上に寄与する観点からも重要なものです。
1 各学校における衛生委員会等の開催について
職員50人以上の学校については、労働安全衛生規則第23条第1項において「事業者は、衛生委員会を毎月1回以上開催するようにしなければならない。」と規定されています。
ついては、必要な委員を確保した上で、既存の委員会等と併用するなど、学校の実情に応じ、適切な対応が図られるようご指導ください。
なお、職員50人未満の学校においても、各市町村の規程に基づき適切に対応するよう併せて指導をお願いします。
《県教委の見解》
(これまでの)「年3回以上の開催」の文言により、年3回実施すればいいと思っている学校があり、今回の文言は、50人未満の学校においても50人以上の学校と同じように衛生委員会を開催するという意味で文書を変えた。
50人未満の学校においても月1回は校内衛生委員会を開催してほしいと思っている。労安体制もしっかりとりくんでほしい。
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あれこれやって、たまたま無事故・無災害だったというのは科学的ではありませんね。ロスが多過ぎます。ですから意図的に無事故を目指す必要があります。
大半の学校では、衛生委員会なんてあってもなくても事故や災害は起きないかもしれません。しかし、リスクは人間がつくるものです。衛生委員会がしっかり機能して事故災害ゼロにつながれば、結果は同じでもそのプロセスはまるで異なります。
前者は偶然、後者は必然なのです。
無事故・無災害は本来、計画・目標・心構えの結果でなくてはなりません。根拠がない偶然は、今後も続くとは限りませんが、なるべくしてなった必然であれば、事故災害はこれからも最小限に抑えることができるでしょう。
また、人生の時間には限りがありますから、意図的に勤務時間適正化を目指した方が早く目的を達成することにもつながります。
長年、衛生委員会を毎月開催しているところからすると、計画性のない学校を見ると、正直少し引きますね。例えると、免許もないのにルールを無視して車を走らせているようなものです。いつか、事故を起こすと思います。
今月の衛生委員会
…『教育かごしま』に連載中…
労働安全衛生規則第23条では衛生委員会の開催について、次の通り示されています
(委員会の会議) 事業者は、衛生委員会を毎月1回以上開催するようにしなければならない。
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毎月開催は、選択の余地のない義務規定です。
「うちの学校は50名未満だから開催義務はない。」などと、労働基準法をよく知らない方たちが、間違った解釈をして開催しないケースもままあるようですが、多くの学校で毎月開かれない理由の一つは、「何を話し合ってよいのか」わからないことにあります。
このような学校のために、地区内の実際の議題例を下に挙げてみますので、参考にしてみてください。中でも「長時間労働対策」は法令上も「調査審議事項」としてきちんと明記されており、毎月協議が必要ない学校など、本来皆無のはずです。
基本的には、毎月実施している「安全点検」と「勤務時間調査」を中心議題にすれば、議題に困ることはありません。(というか、実際は議題がたくさんあり過ぎて困るはずなのですが…。)
尚、衛生委員会(安衛法)は教育課程(学教法)とは別次元の話ですので、年度途中で開催を増やすことは何の問題もありません。
【具体例】赤字は長時間労働対策
4月
〇衛生委員会の活動内容について
・目的
・方針
・組織
・責務(校長、衛生推進者、職員)
・衛生委員会の調査審議事項
・年間計画(作業環境管理、作業管理、健康管理)
・数値目標
公務災害件数、病気休職者数、年休取得数
定期健康診断受診者数、超過勤務時間数
・超勤縮減に向けての取り組み
○勤務時間把握の方法(自己申告方法)
○医師の面接指導受診方法
○定時退庁日の取り組み確認
○定期健康診断の計画、人間ドックの募集
○セクハラ等苦情相談窓口、要綱確認
○安全点検方法確認
○機器使用法(印刷機、裁断機、シュレッダー、農具、給湯器等)
○職員トイレ清掃当番
○休憩室、更衣室、職員用ロッカー、シャワーの使用確認
○通勤災害情報(交通取り締まり情報)
○放射線量測定について
○職員体育、職員厚生について
○駐車場使用について
5月
○勤務時間調査の結果と対策
・医師の面接指導受診対象
・定時退庁日の取り組み結果
○安全点検結果、対策
○職員用救急用具点検、補充
○冷蔵庫整理(食中毒対策)
○結露対策(廊下の安全対策)
○殺虫剤、網戸の配備(危険・不衛生害虫対策)
○作業環境調査
(職員室・事務室等の気積・温度・照度・換気等、事務所規則による)
○学習資料『熱中症・紫外線対策』
6月
○勤務時間調査の結果と対策
・医師の面接指導受診対象
・定時退庁日の取り組み結果
○安全点検結果、対策
○職場環境アンケートの実施
・ケガをした,ヒヤリ・ハットした,危険と思われる場面
(安全点検以外の情報交換)
・勤務環境・設備等での改善についての意見(安全点検の内容は除く)
・勤務や仕事内容,勤務条件についての意見
・職場でのストレス,悩み,困ったこと等
・衛生委員会や労働安全衛生に関する意見
○全国安全週間(7月)
○健康管理講座募集(共済組合)
○メンタルヘルス相談窓口の紹介について
○学習資料『ワークライフバランス』
7月
○勤務時間調査の結果と対策
・医師の面接指導受診対象
・定時退庁日の取り組み結果
・学期末事務処理期間
○安全点検結果、対策
○職場環境アンケート(6月実施)の結果と対策(予算要求)
○子ども参観日(夏休み中の職員の子どもの職場見学、ワークライフバランス)
○永年勤続休暇、夏季休暇、病休、特休の確認
○学習資料『特定事業主行動計画』
8月
○校内研修『救急蘇生法』(AED使用法)
○備品整理、廃棄(環境整備)
9月
○勤務時間調査の結果と対策
・医師の面接指導受診対象
・定時退庁日の取り組み結果
・校長による長時間勤務者(月45時間以上)に対するヒアリング、抑制指導
(業績等評価・中間申告面談の際、特定事業主行動計画に基づく)
○安全点検結果、対策
○空気環境検査報告(学校薬剤師による)
○全国労働衛生週間(10月)
○長時間労働対策(次年度教育課程編成)について
・現状分析、方針、根拠、削減目標、方法、検討スケジュール
・次年度教育課程に向けた削減アンケート(一次・自由記述)
○学習資料『VDT作業』
10月
○勤務時間調査の結果と対策
・医師の面接指導受診対象
・定時退庁日の取り組み結果
○安全点検結果、対策
○長時間労働対策・次年度教育課程に向けた削減アンケート(一次)の結果
○長時間労働対策・次年度教育課程に向けた削減アンケート(二次・削減希望)
○学習資料『危険予知トレーニング』
11月
○勤務時間調査の結果と対策
・医師の面接指導受診対象
・定時退庁日の取り組み結果
○安全点検結果、対策
○長時間労働対策・次年度教育課程に向けた削減アンケート(二次)の結果
○長時間労働対策・次年度教育課程削減の提言まとめ(何を削減するか)
A.日課表、週行事、年間計画の見直し
B.教科、生徒指導のあり方の見直し
C.出張の見直し
D.外部との関係、外部行事の見直し
E.会議や打ち合わせの見直し
F.校務分掌の見直し
G.情報機器の活用
H.事務処理の見直し
I.職場・労働環境の改善
○学習資料『ハインリッヒの法則』
12月
○勤務時間調査の結果と対策
・医師の面接指導受診対象
・定時退庁日の取り組み結果
・学期末事務処理期間
○安全点検結果、対策
○長時間労働対策・次年度教育課程削減の提言の具体策
・本年度内、直ちに削減するもの
・今年度中に削減準備するもの
・次年度開始後、削減するもの
○感染症対策、消毒液配置
○学習資料『公務災害』
1月
○勤務時間調査の結果と対策
・医師の面接指導受診対象
・定時退庁日の取り組み結果
・校長による長時間(月45時間以上)勤務者に対するヒアリング、抑制指導
(業績等評価・最終申告面談の際、特定事業主行動計画に基づく)
○安全点検結果、対策
○長時間労働対策・次年度教育課程削減の提言の懸案事項・検討課題審議
○学習資料『パーキンソンの法則』
2月
○勤務時間調査の結果と対策
・医師の面接指導受診対象
・定時退庁日の取り組み結果
○安全点検結果、対策
○職員健康診断票の記入について
・期間、記入方法、事後措置
○学習資料『疲労蓄積度』自己診断チェック
3月
○勤務時間調査の結果と対策
・医師の面接指導受診対象
・定時退庁日の取り組み結果
・年度末事務処理期間
○安全点検結果、対策
○衛生委員会の年度反省
○数値目標の総括(労働安全衛生統計)
・公務災害
・病気休職
・年休取得
・定期健康診断受診
・超過勤務時間
○年度末の確認事項
・職員室内整理
・職員健康診断票
・勤務時間調査
・職員トイレ清掃
・新学期教室移動
・異動作業
・職場復帰支援
・次年度当初確認事項
○学習資料『メンタルヘルス』
『ストレスチェック』